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平成 26 年 4 月 9 日( 水 ) | |
全日本医療経営研究会 | |
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事業承継には、相続により承継する場合と、事前に生前贈与をするかもしくは遺言により後継者に権利を遺贈する場合があります。
どのような方法を選択するにも、まず医療法人の場合は、現在の出資金がどの程度の価値があるのか、またその他の財産がどの程度あるのか、全体を把握して対応する必要があります。
医療法人を承継するということは後継者が理事長になることで、これは医療法人の代表であり経営のトップになるということです。
基本的には医療法人の出資金を後継者へ委譲しなければ、完全な事業承継はできません。ただし、個人の診療所を承継する場合は、同じ場所で後継者が開設を行い、先代は閉院をすることになります。事業用資産(土地・建物・什器備品等)は先代の所有物ですから、譲渡をするか贈与をするかという選択をすることになります。
現状の医療法人は、一般的に地上2階、地下1階の制度になっているといわれていますが、地下1階は法人の財産に対する権利を経営者の方々が持っていると考えていただいていいと思います。
財産に対する権利があるということは、その権利に対して相続税が課税されます。医療法人は医療法の規定に基づき設立される法人であり、2種類3区分に分類され、財産評価もそれぞれ異なります。持分の定めのある医療法人の場合は、医療法人の各出資者は持分権を有しており、当該持分は売買、相続、遺贈、贈与等の対象となりますので、当然財産評価(出資金評価)の必要性があります。
たとえば1,000万円が37億円に膨らんでいるような医療法人もあり、37億円の評価に対する税金は相当高額な金額になります。このことから、出資持分評価や払戻しに関して内紛が起こるなど全国でトラブルが起こっている医療法人が数多くあります。持分は医療法上で規定されているものではありませんが、法人格を認めるに当たって個人医療機関等からの資金累積を容易にするために、個人的な資産に対しての格別の保護を図ったものといわれています。
そうすると、地下にある医療法人というのは相続税の問題が出てきます。ところが、個人は1階、2階の医療法人の中にある財産に対する権利は持てません。医療法人がどんなに優良で評価が膨らんでいたとしても、そこに相続税が課税されることはありません。このように、相続税の問題は医療法人の中にある財産については全く考えなくていいということになります。そうすると相続税の対策を考えなければならない方というのは、基本的には地下1階の医療法人を経営している方に多くなるという傾向にあります。
さて、当然のことですが、事業承継の問題はすべての医療機関が考えなければなりません。これは個人経営の医療機関も同じことです。国税庁の相続税の申告事績によると、相続税対策は20人に1人が必要といわれていますが、事業承継はすべての医療機関経営者が避けて通ることはできない問題です。事業承継をするときには「医療法上の制約と問題」があり、さらに「民法上の問題」もあり、当然のことながら「税法上の問題」等もありますので、このような問題点をきちんと理解した上で先生方へのご支援をしていただきたいと思います。